外食上場企業ランキング 2020

独自に集計・分析!(2021年5月作成)


2019年度版ランキングはこちら

・2007~2016まで10年度分のランキングを電子書籍『外食上場企業ランキング(完全版)2007~2016』に掲載しています。サイトには掲載しなかったランキングも含め収録した「完全版」です。



下記の前提条件のもとに収集整理しています。サンプリング条件の設定や集計方法の違いから、他の類似のランキングとは結果が同一とならないと思われます。


(注1)対象は、2021年4月1日時点における上場企業(TOKYO PRO Market除く)で当該企業における外食事業売上比率(連結決算がある企業は連結ベース)が51%以上を基準に抽出しました。「外食」とは、消費者からみて「家の外で調理された料理・飲物を家の外で飲食する」ことをいい、ここでは、給食事業・遊興飲食業および料理品小売業(中食)を除いた「最狭義の外食」(フードビジネス総合研究所による定義)をその範囲としています。(例外として、株式会社ダスキンについて、外食事業比率が51%に満たないがその売上規模は300億円以上あるため、同社外食事業部門の売上高及び売上高伸び率のみ対象)。なお、例えば「デニーズ」等のセブン&アイ・フードシステムズは、それ自体は非上場企業であり、上場しているのはあくまで親会社のセブン&アイ・ホールディングスであるため、対象外。


(注2) 2020年4月期から2021年3月期の本決算を対象とした。



外食上場企業ランキング 2020 対象企業(五十音順)

アークランドサービスホールディングス/あさくま/アトム/あみやき亭/安楽亭/壱番屋/一家ダイニングプロジェクト/うかい/梅の花/ヴィア・ホールディングス/SRSホールディングス/SFPホールディングス/エスエルディー/エー・ピーホールディングス/王将フードサービス/大戸屋ホールディングス/海帆/カッパ・クリエイト/カルラ/かんなん丸/関門海/木曽路/きちりホールディングス/ギフト/銀座ルノアール/串カツ田中ホールディングス/くら寿司/クリエイト・レストランツホールディングス/グルメ杵屋/グローバルダイニング/元気寿司/幸楽苑ホールディングス/コメダホールディングス/コロワイド/サイゼリヤ/サガミホールディングス/サンマルクホールディングス/三光マーケティングフーズ/JBイレブン/ジェイグループホールディングス/ジー・テイスト/ジョイフル/すかいらーくホールディングス/精養軒/ゼットン/ゼネラル・オイスター/ゼンショーホールディングス/大庄/ダイナックホールディングス/ダスキンフードグループ/WDI/力の源ホールディングス/チムニー/銚子丸/DDホールディングス/テンアライド/東京一番フーズ/東天紅/東和フードサービス/ドトール・日レスホールディングス/鳥貴族ホールディングス/トリドールホールディングス/日本KFC ホールディングス/NATTY SWANKY/日本マクドナルドホールディングス/ハイデイ日高/ハチバン/ハブ/浜木綿/バルニバービ/B-Rサーティワンアイスクリーム/ひらまつ/FOOD&LIFE COMPANIES/フジオフードシステム/フジタコーポレーション/フライングガーデン/フレンドリー/ブロンコビリー/ペッパーフードサービス/ホットランド/ホリイフードサービス/松屋フーズホールディングス/マルシェ/丸千代山岡家/モスフードサービス/物語コーポレーション/ユナイテッド&コレクティブ/ヨシックス/吉野家ホールディングス/ライフフーズ/リンガーハット/ロイヤルホールディングス/ワイエスフード/ワイズテーブルコーポレーション(全94社)(株)は省略。商号は2021年4月時点。
(注)リンク先(企業別ページ)の業績数値は、最新年度のものに更新されていない場合があります。


外食上場企業 売上高ベスト10(2020年度)

外食上場企業 売上高ベスト10(2020年度)

(注)単位:百万円。カッコ内の数字は、2019年度の順位。企業名右の*は、連結決算。

・グラフ、コメントの無断転載を禁じます。サイト利用条件



【コメント】


■外食上場企業の2020年度売上高ベストテンは、上のとおりとなりました。


■当年度は「全ての企業についてコロナが影響」の初年度であり、これらベストテン企業のうち実に8社が減収となっています。

増収の2社は、3位の日本マクドナルドHDと4位のFOOD & LIFE COMPANIES(スシローグローバルHDが商号変更、以下F&L)です(増加率は順に2.3%、2.9%)。
F&Lは前年度6位から2ランクアップしています(4位であったコロワイドは△28.5%の大幅減収で、売上高は2千億円台から1千億円台へと縮小、ランキングは6位に)。


■1位のゼンショーHD、2位のすかいらーくHDは、ともに順位は変わりませんでしたが、順に△5.6%、△23.2%と売上高を減らしています。
これによりゼンショーHDは6千億円台から5千億円台へ、すかいらーくHDは3千億円台から2千億円台へと、その売上規模を縮小させています。
すかいらーくHDは大幅減収により、3位・日マクHDとの差(売上高)が約1億円と僅かな額となっています。


■5位以下は、吉野家HD(前年度も5位で変わらず)、コロワイド(先述のとおり4位から2ランクダウン)、くら寿司(11位から4ランクアップでベストテン入り)、トリドールHD(前年度も8位)、サイゼリヤ(7位から2ランクダウン)、ドトール・日レスHD(12位から2ランクアップでベストテン入り)の順です。


■減収8社のうち、減収率が最も低いのがくら寿司(△0.2%)、同最も高いのは先にも触れたコロワイド(△28.5%)です。
くら寿司とゼンショーHD(△5.6%)以外の6社は減収率が2桁台(△10%~△20%台)で、各社大きく規模を縮小させています。

コロワイドは期中に大戸屋HDを連結化、これが3Qから加算されるも、トータルではこのような大幅減となっています。
僅かながら減収となったくら寿司は、国内事業のみでみれば0.5%の増収となっています。


■ベスト10圏外となった2社は、ロイヤルHD(9位→13位)、クリエイト・レストランツ・HD(10位→15位)です。
順に△40.0%、△46.6%で、その減収率は上記8社よりも更に高く、4割以上となっています。


■なお、ベスト10企業の合計売上高は2兆2,088億78百万円であり、前年度(FY19)と比べ△12.7%と「1割超減少」しています。
また、売上高「1千億円超」の外食上場企業は、前年度は13社ありましたが、コロナが通年で影響した今年度は9社へと減少しています。



※1位から94位までの全ランキングや、経常利益率・利益額等その他の各種ランキングは、今秋発刊の『外食上場企業総覧2022』巻末資料編に掲載します。



外食上場企業ランキング(完全版)2007~2016 表紙

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2018年2月発行/電子書籍(A4版書籍換算 254ページ)
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外食上場企業 事業セグメント・カテゴリー売上高ベスト10(2020年度)

外食上場企業 事業セグメント・カテゴリー売上高ベスト10(2020年度)

(注)単位:百万円。

・グラフ、コメントの無断転載を禁じます。サイト利用条件



【コメント】


■当「外食上場企業ランキング」は、その名称のとおり「企業を単位」としたものです。そもそも、当ランキング作成の動機、趣旨・目的自体が、「企業として」の現状・動向を把握することにあるからです。この基本姿勢は変わることはありませんが、ここでは補足的に、各企業の「事業セグメント・カテゴリー別」情報(以下、セグメント・カテゴリーをS・Cと略す)をもとにランキングを試みました。これにより、企業単位よりも細かい、「チェーンや事業部門を単位」としての動向を掴むことができます。


■いくつか例示すると、ここでは、すかいらーくホールディングスでは中食事業(「フロプレステージュ」)等を除外した「レストラン事業」を、ロイヤルホールディングスであれば機内食事業やコントラクト事業、ホテル事業等の売上高を除外し、外食事業のみが対象となります。また、吉野家ホールディングスでは「吉野家」・「はなまる」・「海外」に、ドトール・日レスホールディングスであれば「ドトールコーヒーグループ」と「日本レストランシステムグループ」とに分割して、ランキングの対象とすることができます。つまりここでは、チェーン別・業態別・事業子会社別など、より細かい単位での動向把握が可能となります。


■上場外食94企業を細かく再検証した結果、2020年度においては、その(事業S・Cの)数は「137」となりました。


■なお、「セグメンテーション・カテゴライズの仕方」はあくまで各企業の意思・主観で実施されているものです。そのため、「この企業のこの部門はもう少し細かく分割できないか」ということには応えられないケースもありますし、弊社判断によりいくつかの事業S・Cを一括りにし合算した場合もあります。なお、単一業態や単一ブランドでの展開企業の場合等は「セグメント情報」自体を開示していないため、ここでも「企業単位(連結あるいは非連結)」でのランキングとなる場合があります。


■さらに念を押すと、「カテゴライズ・セグメンテーションの仕方」は、各上場企業が行ったものにせよ、それをもとに弊社が加工したものにせよ、いずれにしても大なり小なり「主観的なもの」であるりますし、「厳格な基準により統一」されているものでもありません。つまり、どのようなセグメンテーションをするかによってある程度、順位が変わってくる場合があります。そのため、企業別ランキングとは異なり、当「S・C」ランキングはあくまで「参考」という扱いとなります。


■2020年度のベスト10は上のとおりです。



※全137S・Cのランキングは、今秋発刊の『外食上場企業総覧2022』巻末資料編に掲載します。




外食上場企業 売上高伸び率ベスト10(2020年度)

外食上場企業 売上高伸び率ベスト10(2020年度)

(注)単位:%。カッコ内の数字は、2019年度の順位。企業名右の*は、連結決算。 FOOD & LIFE COMPANIESの対象決算時商号はスシローグローバルHD。ダスキン/フードグループのみ事業部門。

・グラフ、コメントの無断転載を禁じます。サイト利用条件



【コメント】


■2020年度の外食上場企業・売上高伸び率ベストテンは上のとおりです。


■当年度の伸び率ランキングは、これまでの年度とは大きく異なる独特なものとなっています。 対象91社(ダスキン・フードグループのみ事業部門)のうち「増収はこれら10社のみ」であり、11位以下の「ベストテン企業以外は全て減収」という異様な状況となりました(11位のくら寿司は△0.2%)。
さらには、10位のダスキン・フードグループ(事業部門)はここではいわば「特別枠」として対象に入れているものであり、これを除外すると「伸び率の10位は減収企業」(くら寿司)ということになります。


■なお増収・減収企業数内訳をみると、前年度(19年度)は順に53社・38社、前々年度(18年度)が同64社・27社でした。当年度における増収企業数(10社)の少なさ・減収企業数(81社)の多さは、際立っています。


■これらベストテン企業(=増収企業)についても、その値(伸び率)が前年度から良化しているのは4社(安楽亭、アークランドサービスHD、日本KFC HD、モスフードサービス。うち、安楽亭の前年度は減収)で、その他6社は全て値が低下しています。
(ちなみに、良化4社のうち安楽亭を除く3社の上昇ポイントは順に7.0PT、5.5PT、0.2PTで、アークランドとKFCは増加が大きいです)。


■1位の安楽亭の値(+73.0%)は他を圧倒して高いですが、これはM&Aによるものです。前年度末に吉野家HDより「ステーキのどん」「フォルクス」等のアークミールを取得、これがフル連結し大幅増収をもたらしたものです(前期はBSのみ連結、PLは当期より連結)。
安楽亭の売上高につき、アークミールを除外してみると、増減率は△23.3%で、M&A分を控除すれば大幅減収です。


■2位から10位の企業につき、その主たる展開業態をみると、FF洋風が4社(日本KFC HD、モスフードサービス、日本マクドナルドHD、ダスキン・フードグループ)、(FF麺類(ラーメン)が2社(ギフト、丸千代山岡家)、FF回転寿司が1社(F&LCO.)、居酒屋(餃子居酒屋)が1社(NATTY SWANKY)となります。


■なお、伸び率「ワーストテン」(下位10社)は、以下のとおりです。


82位 (11) ユナイテッド&コレクティブ △58.1
83位 (9)  DD HD*           △59.1
84位 (77) テンアライド*        △59.2
85位 (80) エー・ピーHD*       △61.2
86位 (88) チムニー*          △67.8
87位 (27) ハブ            △68.2
88位 (62) フレンドリー        △71.9
89位 (65) 東天紅           △76.2
90位 (60) 精養軒           △77.6
91位 (91) 海帆            △78.3


(注)調査対象94社(FY19は95社)のうち3社(同4社)は伸び率順位なしのため、両年度ともランキングは91位まで。


(主たる)展開業態は、10社のうち8社が居酒屋、1社がDR(ディナーレストラン)で、残る1社(フレンドリー)はFF麺類のみですが、これは居酒屋等の店舗を全て閉鎖し「香の川製麺」のみに店舗を集約したものです。
コロナ禍における、テイクアウト・デリバリーに親和性の高いFF・軽飲食系業態と、居酒屋・アルコール系業態との業績差が、ここに鮮明に表れています。



※1位から91位までの全ランキングや、経常利益率・利益額等その他の各種ランキングは、今秋発刊の『外食上場企業総覧2022』巻末資料編に掲載します。



外食上場企業ランキング(完全版)2007~2016 表紙

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2018年2月発行/電子書籍(A4版書籍換算 254ページ)
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外食上場企業 事業セグメント・カテゴリー売上高伸び率ベスト10(2020年度)

外食上場企業 事業セグメント・カテゴリー売上高伸び率ベスト10(2020年度)

(注)単位:%。

・グラフ、コメントの無断転載を禁じます。サイト利用条件



【コメント】


■上でみた「事業セグメント・カテゴリー別」(以下、セグメント・カテゴリーをS・Cという)にて、売上高伸び率についてもランキングを試みました。2020年度のベスト10は、上のとおりです。当ランキングも、既述の理由から「参考」という扱いです。


■1位の「アークランドサービスHD/その他」の伸びは突出しています(+138.2%)。同社は期中にカジュアルレストラン業態「マンゴツリー」等展開の(株)ミールワークスを子会社化しており、これが要因で当該S・Cの売上規模が飛躍的に拡大したものです。


■2位以降は伸び率20%台以下で、10位になると3%台の僅かな伸びとなります。2位は「ホットランド/海外」で+22.6%(「築地銀だこ」等)、3位の「ギフト/連結」は先にみた企業別伸び率でも2位となっています(「横浜家系ラーメン町田商店」等)。なおアークランドサービスHDが「からやま・からあげ縁(国内)」部門、「かつや(国内)」部門でもベストテン入りしています(順位と伸び率は、順に4位・17.8%、9位・3.7%)。



※全132S・Cについてのランキング(137S・Cのうち、5S・Cは順位なし)は、今秋発刊の『外食上場企業総覧2022』巻末資料編に掲載します。