コロナ禍における外食上場企業の業績(概観)

独自に集計・分析!(2021年6月作成)


フードビジネス総合研究所では、コロナ禍における外食産業の動向を定量的・的確に把握するため、外食上場企業の2020年度決算数値につき収集・整理・分析を行いました。

ここでは、主たる調査結果として、外食上場企業合計の売上高及び純利益の状況につき抜粋・紹介いたします。
調査対象等については、下記注釈をご覧ください。

なお、無断転載は固くお断りいたします。当記事・グラフの二次利用については、サイト利用条件をご覧ください。



下記の前提条件のもとに収集整理しています。サンプリング条件の設定や集計方法の違いから、他の類似の調査とは結果が同一とならないと思われます。


(注1)対象は、2021年4月1日時点における上場企業(TOKYO PRO Market除く)で当該企業における外食事業売上比率(連結決算がある企業は連結ベース)が51%以上を基準に抽出しました。「外食」とは、消費者からみて「家の外で調理された料理・飲物を家の外で飲食する」ことをいい、ここでは、給食事業・遊興飲食業および料理品小売業(中食)を除いた「最狭義の外食」(フードビジネス総合研究所による定義)をその範囲としています。


(注2) 2020年4月期から2021年3月期の本決算を対象とした。



コロナ禍における外食上場企業の業績分析 対象企業(五十音順)

アークランドサービスホールディングス/あさくま/アトム/あみやき亭/安楽亭/壱番屋/一家ダイニングプロジェクト/うかい/ヴィア・ホールディングス/SRSホールディングス/SFPホールディングス/エスエルディー/エー・ピーホールディングス/王将フードサービス/大戸屋ホールディングス/海帆/カッパ・クリエイト/カルラ/かんなん丸/関門海/きちりホールディングス/ギフト/銀座ルノアール/串カツ田中ホールディングス/くら寿司/クリエイト・レストランツホールディングス/グルメ杵屋/グローバルダイニング/元気寿司/幸楽苑ホールディングス/コメダホールディングス/コロワイド/サイゼリヤ/サガミホールディングス/サンマルクホールディングス/三光マーケティングフーズ/JBイレブン/ジェイグループホールディングス/ジー・テイスト/ジョイフル/すかいらーくホールディングス/精養軒/ゼットン/ゼネラル・オイスター/ゼンショーホールディングス/大庄/ダイナックホールディングス/WDI/力の源ホールディングス/チムニー/銚子丸/DDホールディングス/テンアライド/東京一番フーズ/東天紅/東和フードサービス/ドトール・日レスホールディングス/鳥貴族ホールディングス/トリドールホールディングス/日本KFC ホールディングス/NATTY SWANKY/日本マクドナルドホールディングス/ハイデイ日高/ハチバン/ハブ/浜木綿/バルニバービ/B-Rサーティワンアイスクリーム/ひらまつ/FOOD&LIFE COMPANIES/フジオフードシステム/フジタコーポレーション/フライングガーデン/フレンドリー/ブロンコビリー/ペッパーフードサービス/ホットランド/ホリイフードサービス/松屋フーズホールディングス/マルシェ/丸千代山岡家/モスフードサービス/物語コーポレーション/ユナイテッド&コレクティブ/吉野家ホールディングス/ライフフーズ/リンガーハット/ロイヤルホールディングス/ワイエスフード/ワイズテーブルコーポレーション(全90社)
(株)は省略。商号は2021年4月時点。2019年度との経年比較に支障が生ずる3社を除外した。また、期中の上場企業間の連結化並びに連結除外を考慮し重複計上のないよう調整を行った。
(注)リンク先(企業別ページ)の業績数値は、最新年度のものに更新されていない場合があります。


外食上場企業 合計売上高(2019年度、2020年度)

外食上場企業 合計売上高(2019年度、2020年度)

(注)単位:百万円。

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新型コロナウイルス感染拡大の影響を、初めて全外食企業が受けたのが2020年度です(19年度は2月期・3月期決算企業のみ、期末に僅かに影響)。

20年度の外食上企業全体の売上高を合算すると、上グラフ右棒のとおり約3兆9千億円となります。

これと同条件にて前年度(19年度)の売上高を算出すると上グラフ左棒のとおり約4兆9千億円です。

つまり20年度の売上高は前年度から約1兆円も減少し、約8割の規模まで縮小しています(△20.1%)。

なお、算出に当たっては上記注釈のとおり、経年比較に問題のないよう各種調整を厳密に行っています。



※業態別・企業別など、より詳細な調査結果は、『外食上場企業総覧2022』に掲載しています。



外食上場企業 合計純利益額(2019年度、2020年度)

外食上場企業 合計純利益額(2019年度、2020年度)

(注)単位:百万円。

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同様に、各社の当期純利益(※)の合計額を算出すると、19年度が約658億円の黒字であったのに対し、20年度は約△2,100億円と巨額の赤字に陥っています。

(※)日本基準において単独決算は当期純利益(または純損失)・連結決算は親会社株主に帰属する当期純利益(または純損失)、IFRS国際会計基準においては親会社の所有者に帰属する当期利益。



※業態別・企業別など、より詳細な調査結果は、『外食上場企業総覧2022』に掲載しています。




外食上場企業 増減収・増減益4区分別企業数割合(2020年度)

外食上場企業 増減収・増減益4区分別企業数割合(2020年度)

(注)単位:%。

・グラフ、コメントの無断転載を禁じます。サイト利用条件



売上高並びに純利益額の各合計金額推移は上のとおりですが、企業別の動向(増収・減収、増益・減益)を加味してみていきます。

外食上場企業ランキングでも触れたとおり、20年度において19年度比「増収」であったのは対象90社のうち9社(※1)と、全体の1割に過ぎません。残る81社は減収で、実に9割の企業が前年度から売上高を減少させています。

また、純利益についても、増益は9社・減益は81社(※2)と、売上高とちょうど同じ社数内訳になっています。実に9割の企業が、利益額を減少させています。

売上高の動き(増収・減収)と、純利益の動き(増益・減益)とをクロスさせ、4区分別に企業数割合をみると、上図(円グラフ)のとおりです。

すなわち、「増収・増益」は全体の3.3%(3社)に過ぎず、「増収・減益」と「減収・増益」が同割合で各6.7%(各6社)、最も企業数割合が高いのが「減収・減益」で83.3%(75社)となっています。

ちなみに、「増収・増益」であった3社は以下のとおりで、展開業態はいずれも「FF(ファストフード)/洋風(ハンバーガー・フライドチキン)」です。

日本マクドナルドホールディングス(株)・・売上高2.3%増、純利益19.6%増
日本KFCホールディングス(株)・・・同順に12.6%増、82.9%増
(株)モスフードサービス・・・同順に4.3%増、173.1%増


(※1)ここでは、外食上場企業ランキングにおいては対象としたダスキン・フードグループは対象外。

(※2)ここでは、増益とは黒字化及び赤字額の減少を、減益とは赤字化及び赤字額の増加を含む。



※業態別・企業別など、より詳細な調査結果は、『外食上場企業総覧2022』に掲載しています。




外食上場企業 黒字企業数・赤字企業数割合(2020年度)

外食上場企業 黒字企業数・赤字企業数割合(2020年度)

(注)単位:%。

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純利益について、黒字企業数・赤字企業数の割合をみたのが上図です。

20年度において黒字企業は全体の17.2%に過ぎず、実に82.8%の企業が赤字に陥っています(企業数では、黒字16社・赤字77社。ここでの母数は、上の分析で除外した3社を含むため93社)。



※業態別・企業別など、より詳細な調査結果は、『外食上場企業総覧2022』に掲載しています。