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外食産業・フードビジネス 「ニュースの見方」

外食産業・フードビジネスに関する様々なニュース・できごとに対する、考察・私見。
・・・これらはあくまで、「ひとつの見解」に過ぎません。
 

サイゼリヤの既存店売上(10月)が123%を記録・・・「番組風CM」(?)が急増している!(2009年11月18日)


「サイゼリヤ」の10月度既存店売上(前年同月比)が、ここ数年の外食企業、
とりわけファミレス業態としては驚異的な、123.1%を記録した。

この主な要因は、月内にゴールデンタイムのTV番組で同チェーンを大々的
に取り上げたことにあるようだ。

また既に周知の通り、「餃子の王将」(王将フードサービス)の快進撃は続い
ており、10月の同数値(既存店売上前年同月比)は、何と125.2%を叩き出し、
27カ月連続前年オーバーを続けてる。

王将の躍進は、王将自体が魅力を備えているからに他ならないのだが、その
躍進に、やはりTV番組の存在があり、それが快進撃をある程度加速させたこ
とは事実であると考えられる。

もっと如実なのは、ガストが若者向けTVドラマとのコラボレーションを実施
した事例だ。ドラマのなかで、主人公がつくりだしたメニューが、実際にガスト
の店舗でメニュー化され提供されるという販促手法である。

上記事例に限らず、最近では(特に、深夜帯の若者向け番組を中心に)外食
チェーンが取り上げられるのを頻繁に目にする。お笑い芸人たちが、面白お
かしいトークを交えつつ、「うっめー!」と食べているのを観ていると、なぜかそ
の店に行きたくなってくるし、(私は観ませんが)ドラマに登場したレストランが
あればそこに行き、そのメニューを食べたくなるのである。

                  *****

かつて、外食チェーンに「TVCMには不向き」というのが通説であった。

私も基本的には、マクドナルドなど相当程度の店舗網がある場合を除き、
そう思っている。消費財や自動車とは、違うからである。

日本レストランシステムの大林会長も著書『外食非常識経営論』の中で、
「外食企業にTVCMは不要である。CMを打つ意味がわからない」との考えを
書かれている。

しかしながら、いわゆる純粋なCMではなく、最近みられるような「タイアップ企画」
(いわば、 「番組風CM」)となると、確かな効果を発揮する場合があるということを、
冒頭のいくつかの事例が示している。

CMは、CMでしかない。それを見る側には、CMとわかってみている時点で、
フィルターがかかっている。ドラマの合間に(例えば)「ガスト ガストガストー」
と連呼されても、効果は薄い。
しかし、 番組のコンテンツと渾然一体となって、お店やメニューが取り上げられ
れば、純粋に情報が受け入れられやすく、販促効果が発揮されやすい。

タイアップ企画により、(少なくとも一時的な)集客効果が出ていることは確か
なようである。
しかしながら、それを恒常的な状態に持っていけるかは、また別の話であり、そこ
に必要なのは、そのチェーン自体の魅力であり、結局は自助努力にかかっている 。






2009年11月18日記す。
written byフードビジネス総合研究所
 
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