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外食産業・フードビジネス 「ニュースの見方」

外食産業・フードビジネスに関する様々なニュース・できごとに対する、考察・私見。
・・・これらはあくまで、「ひとつの見解」に過ぎません。
 

大手外食企業で食材使い回し発覚・・・「使い回しをする所は、外食産業を名乗る資格はない。」(2008年7月) 




今年、社会現象にもなった、「船場吉兆」の食材使い回し問題。老舗のブランドに胡坐をかき、消費者の信頼を裏切った同社は、破綻に追い込まれた。

私は、船場吉兆の事件を、腹立たしくも、やや他人事として観ていた。飲食店という大きな括りでは、同じフードビジネスに違いはないが、「外食産業」という捉え方からすると、やや別物と考えていたからだ。

ところが、「外食産業」においても、遂に使い回しが明らかになった。すでに大きく報じられていることであり、詳細はここでは記述しない。

(一・末端社員が単独で行ったことのようであるし、発覚後の当該企業の対応も、潔く、迅速かつ適切なものであったと評価される。以下の文章は、外食産業に対する考察を目的としており、当該企業の批判を目的としていない。)

言い尽くされたこと。生業・家業の域を出す、水商売といわれた飲食業は、チェーンストア理論の導入により、外食産業に発展した。

「生業から産業へ」についても、ここでは論じないが、今回の事件に関係する、大変重要なポイントを思い出した。

「外食産業を創った人たち」の第一人者である、すかいらーくの横川社長が、どこかのインタビューで次のように語っていたのを読んだ。

すかいらーくを始めた時、料理人を雇った所、彼らは当たり前のように付け合わせのパセリなどを使い回そうとしたが、私たちはそれを絶対に許さなかった、だからこそ、外食産業になり得た、といった内容の話である。外食産業を創った偉人は、黎明期から、生業・家業・飯屋ではなく、企業として外食業をやるんだ、それが外食産業になるんだという、確固たる意思を持っていたのである。

つまり、もうすぐ40年を迎えようとする我が国外食産業の歴史は、「食材使い回しの否定」から始まっているのである。

(今では40前になった私も、かつては、すかいらーく(イエスタディ)を含め5年程度、外食産業の現場で汗を流していたことがある。その間もちろん、使い回しなどは一回きりともなかった。そのようなことをしようという発想さえ、たったの一度でも考えたことはなかった。そんな奴は一人もいなかったし、そういうことをたった一人にでもさせる、文化や土壌、職場の雰囲気は、皆無であった)

つまり、言い換えれば、こういうことだ。使い回しをする所は、「外食産業」を名乗る資格はない。

2008年7月7日記す。
(written by フードビジネス総合研究所
 
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