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外食産業・フードビジネス 「ニュースの見方」

外食産業・フードビジネスに関する様々なニュース・できごとに対する、考察・私見。
・・・これらはあくまで、「ひとつの見解」に過ぎません。
 

マクドナルドの月次売上前年下回るが・・・「そう騒がなくていい。客数増減こそ重視されるべき。」(2008年5月)




マクドナルドの2008年4月既存店売上高は前年を割る(99.5%)。2006年1月以来27か月ぶり。客数103.0%、客単価96.6%。全店売上は100.4%。

既存店売上の前年割れが当たり前の時代、マクドナルドは原田CEO就任後、客数増政策が功を奏し、既存店売上は前年越えを続けてきたし、月次売上のみならず、デイリーセールス、マンスリーセルス、年間システムワイドセールス(直営+FCの店舗売上高)、連結売上など、レコードを塗り替え続けている。

そんな中、本日発表された4月の既存店売上は、27か月ぶりに前年割れの99.5%であった。日経新聞等にも、センセーショナルに報じられたようだ。

しかし、それでマックの快進撃が止まったかに論じるのは、いささか早計だ。

注目すべき点は、客数を3%伸ばしている点だ。

客数増を目指すべきなのか、客単価増が相応しいのかは、業態特性、その企業やブランドの持つ使命、目指す方向などで変わってくる。

マクドナルドのような規模の、生活密着・日常性利用の業態であれば間違いなく、より多くの国民に日常生活利便を提供するのがその使命であり、すなわちいかに客数を増やせるかが経営の重要な指標となる。原田CEOも各所で、客数を重視すると明言している。

凋落が叫ばれるFR(ファミリーレストラン)業態をみてみる。最大の懸念材料は、売上もそうだが、低価格FRにおいても「客数減が進行」していることだ。FR不振の中、好調を保ってきたサイゼリヤも、ここ6カ月は売上が前年を割っているが、主因は客数減だ。ジョイフルの平成19年度(通期)は102.4と100を超えているが、客数は前年割れし(97.5)、前年超えの売上を客単価増により作っていることになる。FR業態においても特に、これら低価格FR(客単価600円台〜700円台)の使命はマックと同様、人々の「日常生活・ふだんの暮らし」を豊かにすることであり、よって、客数が最も重要なバロメーターとなるのだ。

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2008年5月9日記す。
(written by フードビジネス総合研究所
 
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